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2015年10月16日

与那国島より、台風被害から、復興へ向けて。

台風24号と25号が発生しています。前回9月28日の風速81mの台風で甚大な被害を受けている与那国島にとって、この台風がさらなる被害の拡大につながらないことを祈るばかりです。
とりあえず、来年の台風シーズンまではと、応急処置をしている家も、この台風の動向次第では、被害を受ける可能性があります。そして、これから本格的な再建を目指すのか、行政の判断を待って見舞金や再建費用が提示されてからでないと行動に移せない被災者もたくさんいます。実際には国や県からのお金が下りるのか疑問視しなくてはいけない状況ですが、何か支援金の話も持ち上がり期待している人も多く、受け身の姿勢では災害復旧までは程遠いというのが実感です。現に、今回の台風では「激甚災害」に指定される見込みは薄く、「災害救助法」や「被災者生活再建支援制度」などありますが、家屋の損害に対して支援があるのかなんとも言えません。
復旧を遅らせている要因はまだあります。個人所有の家でしたら、住んでいる人間の判断で復旧に取り掛かることはできますが、借家の場合、大家さんと相談してからでないと進まないケースが多々あり、金銭の負担をどこがするのか、費用の見積もりができなければ前に進みません。さらに大家さんが島に住んでいないで、沖縄本島に住んでいるケースも多く、未だに自分の家がどのような被害状況か確認すらできていないケースもあります。与那国島で現場を見ていて、一番大変だと思う事は生業の復活です。一次産業に従事している人には、待った無しで生き物と向き合わ無くてはいけない状況にあります。壊れた牛舎や馬舎や畑の回復に人手がかかります。壊れた家の修繕などはインパクトがありますが、ここから先、本当に必要なのは生業という生きていく上で必要な仕事の基盤の復活だと思っています。
このような状況にもかかわらず、行政の意思決定は遅く、しかも、陸上自衛隊基地の建設で与那国島の中に生んだ分断の傷は大きく、重機の大半は復旧もそこそこに現場での工事に駆り出され、個人の家の再建に必要な場合でも後回しにされている現状があります。台風で家が全壊した家屋の家主でも「国や行政が仮設住宅を作ってもあんたらの世話になるつもりはない」とテントを張ったり「自力で修復するから、私たちの為に何か良いことしているつもりにならないで」と自衛隊基地建設を推進する行政に対して「基地建設に推進の側の方が、手厚い保護を受けている」など、賛成派と反対派の双方に分断があります。この不信感は、僕個人の勝手な思い込みではなくて、日本全国に張り巡らされた足の引っ張り合いの因習の体現なのだと思っています。原発立地自治体も、巨大公共事業の標的になった自治体も過去の事例と全く同じです。お金で分断していく中央の行政官僚のマニュアルみたいなものです。個人が出すささやかな金額なんかの復興に付き合うより、国がつけた基地建設の予算を粛々と消化する方が土建屋さんにとって割りが良いからです。
こうした残念な事例は多くの与那国島ファンをがっかりさせるかもしれません。理想はともかく、現実を見据えて現場で行動する実行が問われています。判断を保留にしている間にも、この台風のように、次の災害がやってくることもあります。全壊家屋などの復旧が困難なケースは、判断が難しいからこそ後回しにされ、そこで見通しの立たない生活している人が一番苦しんでいるのです。赤十字や銀行や公共団体にお金を回して、それが機能しているとはとても感じられないし、行動している気配すらこの島ではありません。いくらお金を集めても、動く気持ちを持った数少ない人が最初の困難を乗り越えて、リーダシップを持って行動を始めないと、多くの島内外のフォロワーは動きません。
最初の義援金の振込みがあってから、あまりにこの状況を見過ごすことができず店を閉めて活動しています。難しい状況の中、何かできることはないか飛び回っています。人手が足りません、ボランティアできる方ご連絡ください。与那国島でWWOOFのようなことを続けているので、宿泊と食事の提供は僕の家でできます。お金をいただくという行為は恐れ多いのですが個人名で義援金も募集しています。義援金での支援をお考えいただいてる方、振り込みいただいた場合、できればお礼を言いたいのでメッセージを下さい。本当に申し訳ないのですが、詳しい使い道を細かく公表しながら、了解を得て進めることの煩雑さも一人で背負えない状況です。この日本で一番遠い最西端の島で災害が起こった時の大変さは、まず情報の発信者がいない、島の人は情報ツールの使い方に不慣れで高齢者も多い。距離的に遠いためボランティアで駆けつけてくれる人がほとんどいない。必要な建設物資の調達が島の中ではできないため隣の石垣島や沖縄本島まで発注をかけてから届くまでに時間が掛かる、必要なものがすぐに手に入らない、そもそも日本で一番の離島なので経済的にも苦しい上に物価が高い。与那国島でひとり情報を発信し続けていると「与那国島ひとり災害対策本部」か‼︎と自分で突っ込みを入れたくなる忙しさです。
本日、取り急ぎ必要だと思われる木材やトタンなど10万円ほど発注いたしました。Twitter(@moistchocolat)やFacebook(Tetsu Inomata)を通して信頼してお金を回してくれた方には本当に感謝しています。入金していただいた連絡がつかない方にもこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思っております。あまりこのブログ更新していませんでしたが、日本全国の皆様のご支援の気持ちが集まればと思っております。

ゆうちょ銀行
記号 17010 番号14550421 イノマタテツ
ジャパンネット銀行
すずめ支店 店番号002 普通預金3400108 イノマタテツ




Posted by Moist Chocolat at 12:25│Comments(0)
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