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2011年08月23日

「君死にたまふことなかれ」(全文)与謝野晶子

「君死にたまふことなかれ」軍国主義の真っ只中に、女流詩人与謝野晶子が詠った非常に有名な反戦歌です。

戦中日本が行なった大本営発表と現在の情報統制は驚くほど酷似しています。

僕はいま彼女の歌を自分の思いに重ねて考えることができるようになりました。

戦争という行為は人間が人間の尊厳を踏みにじる、もっとも残虐な行為に他なりません。

わずか66年前に日本は戦争を経験したばかりなのに、時間は流れても、あのときから未来へ一歩も前に進んでいなかったのではないでしょうか。

僕を含め二度と戦争をおこしたくない人たちのために、彼女が戦争の真っただ中で歌った歌をもう一度心に蘇らせて下さい。

彼女の歌はきっと僕たちが創造する未来への力になると信じています。



「君死にたまふことなかれ」


  あゝおとうとよ、君を泣く

  君死にたまふことなかれ

  末に生まれし君なれば

  親のなさけはまさりしも

  親は刃をにぎらせて

  人を殺せとをしへしや

  人を殺して死ねよとて

  二十四までをそだてしや



  堺の街のあきびとの

  旧家をほこるあるじにて

  親の名を継ぐ君なれば

  君死にたまふことなかれ

  旅順の城はほろぶとも

  ほろびずとても何事ぞ

  君は知らじな、あきびとの

  家のおきてに無かりけり



  君死にたまふことなかれ

  すめらみことは戦ひに

  おほみずから出でまさね

  かたみに人の血を流し

  獣の道で死ねよとは

  死ぬるを人のほまれとは

  おほみこころのふかければ

  もとよりいかで思されむ



  あゝおとうとよ戦ひに

  君死にたまふことなかれ

  すぎにし秋を父ぎみに

  おくれたまへる母ぎみは

  なげきの中にいたましく

  わが子を召され、家を守り

  安しときける大御代も

  母のしら髪はまさりぬる



  暖簾のかげに伏して泣く

  あえかにわかき新妻を

  君わするるや、思へるや

  十月も添はで 別れたる

  少女ごころを思ひみよ

  この世ひとりの君ならで

  ああまた誰をたのむべき

  君死にたまふことなかれ   


「君死にたまふことなかれ」(全文)与謝野晶子


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Posted by Moist Chocolat at 01:18│Comments(0)
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