高江の森の違法伐採を見に行く
2016年8月26日 高江
朝5:30に起こされる。まずは夜が明け始めた明るさから、未明の機動隊突入は無かったんだと、ぼんやりした意識のなかでもわかった。
昨晩泊まった車の中から降りてすぐに、糸数慶子参議院議員とすれ違った。糸数議員がどれほど朝早く起きて高江に向かっていたのか、頭が下がる思いだった。まずは強制撤去があるかもしれないタイミングで国会議員が訪問してくれたのは心強い。
朝のミーティングは6:00頃から始まった。幸いにも未明からの強制撤去がなかった事が全体の気持ちを穏やかにしていた。N1裏テントは市民にとってのホームベースになっているため、ここの死守は依然最重要課題になっていること、しかし、当然の事ながら最大限工事を遅らせながら、諦めさせるというスタンスは変わっていないことが確認された。
昨晩の作戦会議で決められたのだろう。国道70号線とN1裏が機動隊員らの道路封鎖で分断されないよう、新川ダムの入り口での抗議行動に切り替えられていた。
9:30過ぎ、仲間とN1林道の散歩に出かける。まだ半分くらいは土のぬかるんだ道で、N1から運び込まれた砕石がこの道に敷かれていく予定なのだ。オスプレイの訓練の為のヘリパッド建設でなければ、林道を歩く気持ちは違ったものになっていただろう。
途中、林道の樹木を伐開している業者がいた。ユンボの先端に挟むパーツを付けていて、捻じ切るように樹木を伐採していた。仲間と一緒に問い詰めたら、狭い道幅で人がいるにもかかわらず、急発進し、キャタピラーを滑らしながら、急旋回して去って行った。
国有林野の使用承認書では、直径4センチ以上の立木の伐採については、防衛省沖縄防衛局と森林管理署との事前協議が必要で、協議された木にはナンバリングがされており、チェーンソーで切られているが、N1裏に向かってナンバリングが殆どなくなって、無残な切り口を晒している立木が殆どになって行く。これは最初の方だけ、おざなりに法令を遵守するふりをしている結果ではないかと感じた。8月の初めにもこの問題が表面化したが、高江の森の違法伐採は改善どころか、ますますひどくなっているのは、現場を見れば明らかだった。
およそ2時間の散歩を終えて、帰って来て間もなくの12時頃。機動隊員約65名がN1裏テントに、先ほどの林道から接近しているとの情報が伝えられた。裏からの強制撤去の可能性も考えられたため、市民が集まり座り込む。12:50フェンスの向こう側から現れた一団は、市民をフェンスの入り口まで下げさせると、境界線を挟んで対峙する形になった。
市民は憲法第13条に抵触する違法な撮影をやめるよう呼び掛けるが、一切の反応なし。
指揮監督する代表者(帽子に三本線が入っているのですぐわかるが)は、市民の疑問に答えるよう前に出てくるよう呼び掛けたが、応じることはなかった。
おそらく機動隊は、自らの正統性も行動の正当性も語ることが出来なくなっている事を、この沖縄で学びつつあるのかもしれない。明らかに苦渋に満ちた表情は、派遣当初の権力に裏打ちされた雄弁な沈黙とは質を異にしてきている。市民の声に沈黙せざるを得ないというのが現状であるようだ。
最後に、何者かが壊した?フェンスの現場検証を行って帰ったが、何故かスマホのカメラと持ち込んだ違法なビデオカメラで動画を撮影して帰った。現場検証をしに60名も引き連れて現れながら、誰ひとりとしてまともなカメラひとつ持ち込むのを忘れたようだ。